自動車教習所中退

 19~20歳くらいのころ、普通自動車免許を取りに行った。

 このころは大学にまともに行っておらず、「ぼやーっとしてるくらいなら免許でも取りに行ったら」と親に言われてそれもそうかと思い自動車教習所に入所した。

 別に車に興味があるわけでもなく、大体このぐらいの年齢で取るらしいという常識に従っただけで、モチベは無かった。

 車にいざ乗ってみると、アクセルを踏み込んでハンドルを適当に切ればすぐに適当な事故は起こせるものということで、これが大変精神的に負担になった。~かもしれない運転とは言うが、僕の中では「こうすれば事故れるな」とか「ここで人を轢けるな」ということばかり頭に浮かんで、不安で仕方がなかった。

 生来のぼんやりした気質を意図的に切り替えるような術を当時まだ持っておらず、指導員に怒鳴られるわなんやで、不安も重なり、大層へこんだ覚えがある。

 指導員の正当とも思えない嫌味や悪意を感じる物言いにすぐ教習所に行かなくなった。これは運も無かったなと今になって思う。

 数ヶ月経って、教習期限も切れそうなのでようやくまた行ったところ、不安、指導員の物言いに変化もなく普通につらくなりキャンセルを入れてその日は帰った。親にはもう行けないと言った。あんたも車乗ると思って買い替えたのにがっかりしたと言われた。初めて聞いたんだが……。

 それから4年経ち、また教習所に通い始めた。

 今になってみるときっかけはよくわからないが、そういう気分だったんだと思う。今はそういう気分じゃないので、よくまた通い始めたものだと思う。すごいな。

 前通っていたところとは違うところで、指導員はつらい人はつらかったが、優しい人もいた。それと、前の時と比べて少し要領よくなっていたというか、切り替えが効くようになっていた。不安に関しては、事故ってもいいと思って運転することによって克服した。指導員は補助ブレーキだ。わけのわからん指導員には慇懃無礼に対応だ。そのくらいのことができるようになっていた。4年前との違いだと思う。

 2ヶ月程度で卒業し、運転免許を取得した(限定だけど)。

 よかったよかった。

 個人的には偉業である。一度辞めたのは無駄だったけど、当時は色々足らないものが多すぎて、今回に関しては取れる条件が揃っていたということだろう。

 ただ世の中見てみると、運転免許は楽勝な資格であるらしいのがこわい話だ。

 大変苦労したので、ふと道路を走る車を眺めた時なんかは「こんなに多くの人があれを乗り越えたのかー」という思いになる。運転免許を持っている人には同情的な態度というか、少し尊敬の念を覚えるくらいだ。しかも大体の人が一度で取っていて、簡単だったと認識している。おそろしい世の中だ。